改正品確法が成立、施工者の適正な利潤確保に配慮

公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の改正法案が5月29日の衆院本会議で可決、成立しました。

品質確保の担い手である施工者や設計者が人材を確保、育成しやすくすることを目指し、施工者が適正な利潤を得られるよう発注者に配慮を求める条文などを盛り込みました。 改正品確法案は議員立法で、参院の国土交通委員長である民主党の藤本祐司参院議員(元国土交通大臣政務官)が4月4日に参院に提出しました。

改正前と比べると、ダンピングの防止や工事の担い手の処遇改善など具体的な内容の条文が増加。品質の確保には施工者などの経営体力の維持が必要という考えを強く感じさせる内容となっています。そのほか、完成後の公共施設に対して適切な維持管理を求める条文などを追加しました。全体として発注者に新たな責務を課した条文が目立ります。

改正品確法が新たに発注者に課した主な責務

項目 概要(品質確保のために行うべきこと)
3条4項 品質確保につながる入札・契約方法の選択 発注者の能力および体制を考慮しつつ、工事の性格、地域の実情などに応じて多様な入札および契約方法のなかから適切な方法を選択することで品質を確保する
3条6項 完成後の維持管理 公共工事の品質を、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理によって、将来にわたり確保する
3条8項 ダンピングの防止 その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止する
3条10項 労働環境の改善 受注者を含む請負契約の当事者は、工事に従事する者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮する
3条11項 調査・設計関連の有資格者に対する評価 公共工事に関する調査(点検および診断を含む)、設計に取り組む技術者などの能力が、保有する専門資格などによって適切に評価され、活用されるようにする
7条1~6項 公共工事の担い手の中長期的な育成・確保 (1)施工者が適正な利潤を確保できるように予定価格を適正に定める (2)入札不調が生じた場合には参加者から見積もりを取るなどして、予定価格を修正し、速やかに契約を締結するよう努める (3)請負金額が安くなりすぎないように、最低制限価格の設定などの措置を講じる (4)計画的に発注し、適切な工期を設定するよう努める (5)設計図書の施工性に問題が生じた場合には、必要に応じて設計の修正、および請負金額や工期の変更を行う (6)完成後一定の期間が経過した公共施設に対して、施工状況の確認や評価を必要に応じて実施するよう努める
15条2項 技術提案の負担に対する配慮 入札への参加者に技術提案を求める場合には、提案の負担に配慮する

建設業法などの改正法も成立

同日の衆院本会議では、政府が提出した建設業法や入札契約適正化法の各改正法も可決、成立しました。どちらも内容は改正品確法と関連があります。改正建設業法は建設会社の努力義務に「建設工事の担い手の育成および確保」を追加。改正入札契約適正化法はダンピング対策を主眼としています。