「止まれ」から「ゆずれ」に、全国に広まる環状交差点

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9月1日の改正道路交通法施行に伴って運用が始まった「環状交差点」が、今年度内に15県の49カ所に増える見通しだ。従来の円形の交差点と異なり、改正道交法に基づく環状交差点では、進入車両に一時停止の義務はない。「止まれ」から「ゆずれ」へと、表示も変わった。

環状交差点は、「環道」を持つ平面交差で、各都道府県の公安委員会が設置する道路標識などで環道を右回り(時計回り)に通行することを指定した交差点。交差点に進入した車両は環道を右回りに走行してから、任意の道路へ左折して出ていく。

環状交差点は一般に「ラウンドアバウト」とも呼ばれる。信号機が不要なので、その設置費用や維持管理費を削減できるほか、信号待ちの時間を解消でき、停電時にも交差点の機能を維持できるなどの利点を持つ。

全国には現在、円形の交差点が140カ所ほどあるとみられるが、そのうち、道幅や形状などで、ある程度の条件を満たしたものが環状交差点に指定される。

改正道交法では、車両が環道を右回りで徐行すると規定。交差点への進入時に一時停止する義務は課していないが、環道を走行する車両の通行を優先する旨を定めた。長野県飯田市などに以前からあった円形の交差点では、環状交差点への指定に伴い、一時停止を廃止した。

規定での「車両」には、自転車も含まれる。そのため、走行しながら右折するには、自転車であっても環道を右回りにぐるりと4分の3周しなくてはならない。

警察庁によれば9月1日に環状交差点の運用が始まったのは東京都(1カ所)、茨城県(1カ所)、長野県(4カ所)、静岡県(3カ所)、愛知県(4カ所)、京都府(1カ所)、大阪府(1カ所)の7都府県。今年度中には宮城、埼玉、千葉、神奈川、石川、滋賀、宮崎、沖縄の8県でも、計34カ所で環状交差点の運用が始まる。

長野県須坂市では、5方向から市道が交わる通称「A交差点」を環状交差点化し、9月1日から運用を始めた。同市ではランドマークとして機能することにも期待している。この環状交差点の様子は、須高ケーブルテレビのライブカメラで確認することができる。

1日1万台未満が適用条件

改正道交法の施行に先駆けて国土交通省道路局は8月8日、「望ましいラウンドアバウトの構造について」とする通知を各地方整備局などに発した。管内の都道府県や政令市を通じて、通知内容を市町村にも周知するよう求めた。

この通知は、道路管理者が環状交差点を計画・設計するための条件や留意事項についてまとめたもの。交差点に進入する道路や環道が1車線の環状交差点を整備することを前提として、適用条件や構造、案内標識の設置方法などを示した。適用条件では、交差点に流入する交通量が1日当たり1万台未満の交差点に適しているとしている。

通知に先立って国交省では、有識者などで構成する「ラウンドアバウト検討委員会」(委員長:赤羽弘和・千葉工業大学工学部建築都市環境学科教授)を設置して技術的な課題を検討した。長野、静岡、滋賀の3県の交差点では、12年から14年にかけて社会実験も実施した。

実験の対象は、長野県軽井沢町の六本辻交差点と静岡県焼津市の関方交差点、滋賀県守山市の立田町交差点。いずれも、環道への進入路に一時停止線を設けた。利用者からは信号待ちがなくて便利になったなどの一定の評価を受けた。

六本辻交差点と関方交差点は9月1日に、各県の公安委員会から環状交差点の指定を受け、運用を始めている。ただし、六本辻交差点の進入路には、一時停止線を残している。長野県警察本部によれば、同交差点は環道の直径が小さいことなどから、しばらくの間は一時停止規制を残すという。

立田町交差点は、9月9日時点でまだ滋賀県公安委員会から環状交差点の指定を受けていない。社会実験の際に環道の内側に設けた中央島などが仮設のままなので、守山市では今後これらを整備して14年度内に環状交差点の指定を目指す。

海外でラウンドアバウトに変更した交差点は、交通事故が約4割減少したという報告もある一方、交通量が多い交差点では渋滞が発生しやすいなどの問題があるそうです。

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